自治体でのRPA活用事例

 私はRPAエンジニアとして複数の官公庁、自治体でのRPA導入プロジェクトに参画してきました。今回はその中で感じた民間企業と違う自治体でのRPAでのロボット作成の特徴や事例を簡単にご紹介させていただきます。

急速に加速される自治体のRPA導入率

直近5年で自治体RPA導入率が2倍以上増加!

 総務省は、令和4年の調査で導入済の自治体が都道府県で94%、指定都市で100%の導入であると発表致しました。また平成30年時点で都道府県が30%、指定都市が40%となっており、比較すると都道府県は64%、指定都市は60%の導入率増加がみられます。

 その他の市区町村も平成30年度4%から令和4年委は36%と急速に導入率が増加していることが分かります。そのため自治体全体でこの5年の間で急速にRPAの導入が進まれている状況です。

総務省情報流通行政局地域通信振興課自治行政局行政経営支援室 「自治体におけるAI・RPA活用促進

RPA導入後の効果と特徴

1000時間を超える作業時間削減効果

多くの自治体で活用されているRPAですが、実際にどれほどの効果が出ているのでしょうか。

総務省の発表によると、人口規模の小さい団体でも1000時間を超えた導入効果が得られており、人口規模の大きい自治体では数千時間~1万時間の改善効果を見込む団体もあるとされております。

多くの自治体がRPAによる効果を実感しており、いまだRPA導入が進んでいない市区町村にも今後広がっていく可能性が非常に高いと思われます。

総務省情報流通行政局地域通信振興課自治行政局行政経営支援室 「自治体におけるAI・RPA活用促進

このような大きな効果がみられるRPA導入ですが、実際にどのような業務が自動化されているのでしょうか。

  • 文書の作成・編集業務
    自治体の業務の特徴として、文書形式を利用した業務が比較的多いことが挙げられます。
    そのためWordやPDF、といったファイルの作成や編集をRPAで自動化することで作業時間の削減を実現されております。
  • データの集計業務
    大量にあるデータをまとめ、資料に落とし込む作業も多く存在しております。
    大量のデータを繰り返し作業する業務はRPAの得意な業務の一つです。

RPA導入事例

より具体的にRPAで自動化された業務を紹介します。

  • 1文書の作成業務

部内展開の資料用に法令を文書としてまとめる業務がありました。この業務は多くの法令を同じ手順で検索しWordに記載する方法で行っていました。この単純作業で一回120分ほど作業に時間を使用していました。

そこでRPAを導入し、法令の検索からWordの記載まで自動化することにしました。

RPAを導入したことにより、作業時間を30分ほどに短縮することができ、RPAを動かしている間別作業を実施することでより作業効率を図ることができるなど多くの効果があったそうです。

  • 文書の編集業務

研修向けに各講師から受け取った研修資料にクレジットを記載し、編集権限設定を変更する業務がありました。この業務は受け取ったファイルを自分のフォルダで整理し、PDFファイルの編集やPowerPointに対しての編集などを実施していました。この業務には様々な種類のファイルが存在し、また大量に資料が送られるため、作業時間が180分以上かかる業務でした。

そこでRPAを導入し、PDFファイルの編集作業やPowerPointの編集作業と各権限付与の設定をRPAで自動化することにしました。

自動化することにより、データが送られるとRPAを実行するだけで業務が完了し全体の作業時間が30分ほどに短縮されました。そのためデータの整理が不要となり、作業時間も短縮するなどの効果が見られたそうです。

  • データの集計業務

各部署の提出用に、大量のデータから必要な値を取得し、提出用の様式に記載する業務がありました。この業務は大量のデータを確認するとともに、データの保存先が複数あったため作業時のミスが起きやすい作業とのことでした。

RPAを導入し、データの取得から様式の転記を自動化しました。

そのことから、作業時間の削減と作業ミスの軽減につながるといった効果が見られたとのことです。

集や作成業務をRPAで自動化したい方。自治体でRPA導入をするとどんな業務の自動化ができるのか?今、RPAは導入してるけどもっと有効活用できないのか?そんなお考えがある方は是非、お気軽に自治体でのRPA導入のお手伝い経験が豊富な私たちにご連絡ください

本記事の執筆者

ペネトレイター株式会社 杉山