Automation Anywhere(Automation 360)でのWordの自動化について

Automation Anywhere(Automation 360)で自動化の開発をする際に、Wordの自動化は、アクションが用意されていないので、どうしたらいいのかわからないというようなお悩みをお持ちではないでしょうか。

WordはExcelと異なり処理する箇所を特定するのが難しいなど、自動化するための難易度が高いこともあります。しかし、業務によっては工夫をすることで自動化を実現できるケースもあります。

本日は、Wordを使用した業務の自動化について、Automation Anywhere(Automation 360)を使用して自動化に成功した事例を紹介します。Automation 360と同じようなアプリケーション専用の機能が用意されていないRPAツールを使う際に、ご参考いただければと思います。

WordのRPA(Automation 360)化について

Wordを使用した業務はRPA(Automation 360)の苦手分野?

Wordを使用した業務は、Automation 360での自動化の開発にあまり向いておらず、自動化対象から外されがちです。

なぜAutomation 360ではWordを使用した業務が向かないのか、その理由は以下の2つが挙げられます。

  1. Automation 360RPAツール上にWordに特化したアクションパッケージがない
  2. Wordの形式が統一されていないため、対象のデータの特定をし値を取得することが難しい

ご存知の通り、RPAはルールが決められたことしかできないので、ルールが決まっていないとWordに限らず、RPAによる自動化するのが難しいです。逆に言うと、テンプレートさえ決まれば、ルールさえ決まれば、自動化するのは可能です。

Automation 360の場合、Wordのデータを活用するために、ある程度Wordの形式を決めて、参照用のマスタファイルと併せて利用すれば、Wordファイルを利用する業務の自動化にも十分に可能性があります。

今回は、私が実際担当したWordに関連した業務を、Automation 360を使ってどのように自動化できたのか、その課題と解決策を次のフェーズでご紹介いたします。

WordのRPA(Automation 360)化に伴う課題と解決策

苦手なWordを使用する業務をRPAツールの特性に合わせて処理フローを調整すればRPA化できます!

Wordを使用する業務をRPA化する際に、以下の課題がよく上がります。

よくある課題

  1. 取得対象の文字を特定できない
  2. 転記場所の特定ができない
  3. 入力文字が自動変換されてしまう

①と②の課題は、Excelの「セル」のように、場所を特定するものがWordには存在しない為、Wordを使用する業務をRPA化する上でRPAエンジニアが頭を悩ませる代表的な課題です。

③の課題は、Wordの自動修正機能の影響で、一部自動でひらがなから漢字に変更されることがあり、文字が適切に転記できない事象が発生する場合があります。

文字を正しく入力できないと成果物の内容が変わってしまうため、指定した値が正しく入力されるようにロボットの設定を調整する必要がありました。

このような代表的な課題を解決するには、こんな解決策があります。

課題の解決策

  1. 取得対象の文字を特定できない
    対象WordファイルをPDFファイルに変換し、PDFファイルとして処理します。
    Automation 360では、PDFファイルに対応するパッケージがあるので、Wordファイルで文字の特定が難しくても、PDFファイルに変換すれば文字を特定して取得することができます。
    Automation 360に限らず、RPAツールの特徴に合わせてWordファイルの形式を変換することで文字の特定課題を解決できました。
  2. 転記場所の特定ができない
    共通ルールを元にWordのテンプレートを作成することで、転記場所を特定できました。
    例えば、データを転記する際に、転記の開始位置を固定し、開始位置までEnterで改行する回数を固定します。
  3. 入力文字が自動変換されてしまう
    直接入力するではなく、入力データを一度クリップボードに預けて、クリップボードから貼り付けをすることで、解消できました。
    Automation 360と同じように、テキスト入力がWordの自動修正機能に影響されるRPAツールでは、クリップボードから貼り付けをすることで自動修正の対象にならないので、自動変換を防ぐことができます。

Wordを使用する業務の自動化事例

課題を克服したWordを含む業務の自動化事例を紹介します

先ほど説明した解決策を具体にどのような業務の自動化につなげたのか、実際に弊社が自動化に成功した事例を紹介します。

自動化対象の業務内容

  1. 業務で使用する用例をWebサイトからrtfファイルでDL取得する。
  2. 取得したrtfファイルの用例を、用例集テンプレート(Word)に転記する。

自動化にあたっての課題

  1. Word内で記載する場所を指定することができないため転記位置がずれてしまう
  2. 入力した文字が勝手に変換されてしまう

課題の克服方法

  1. テンプレートを使用し、カーソル移動の回数を固定化する
    転記先のWordファイルのテンプレートを見直し、入力後のキー操作パターンを統一することで、転記位置を指定することができました。
  2. 入力したい文字をクリップボードで保存し貼り付ける
    上記課題(2)に対しては、テキストを打ち込む状態であると、Wordの環境設定に依存するため、転記元の文字を取得し、クリップボードにコピーし、クリップボードからWordファイルに貼り付けることで解決できました。

まとめ

今やっている業務で、テンプレートが決まっていないドキュメントを使用する業務は意外とあったりします。そんな時に、「決まっていないからRPA化は無理だ」と諦めないで、ぜひ一度弊社までご相談ください。

「今のままでは無理」でも、一部工夫することによって「自動化できる」ことが増えます。別の記事でも紹介したように、フォーマットがバラバラの業務を業務見直すことで自動化に成功した事例がありますので、ぜひご参考してみてください。

参照:100種類あるフォーマットを使用した明細書作成業務自動化成功事例

RPAによる自動化のTipsを本サイトでいろいろと紹介しております。まだ記事化されていない、書ききれないTipsもまだたくさんありますので、今ロボットを作成して何かお困りのことがありましたら、お気軽にお問合せください。実際の業務に合わせてご提案させていただきます。

本記事の執筆者

ペネトレイター株式会社 平石