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「人が判断する業務はRPAツールを使って自動化は出来ない(難しい)」 そう思われている方はこの記事をぜひ読んでください。
業務内容とRPAの相性もあるため、すべての業務を絶対自動化出来ると言い切ることはできませんが、実は、業務の中で人が判断する要素が多くRPAで自動化は出来ないのでは?と思いがちな業務でも、業務を整理すれば部分的に自動化が可能な場合もあるんです!
今回は「クライアントがRPAでは出来ない」と思い込んでいた100種類あるフォーマットを使用した明細書作成業務の自動化した事例をご紹介します。
ルールが統一されていない業務でも自動化は可能?
複雑な業務でもルールを整理すると自動化が可能なことが多い!
RPAを既に導入している、あるいは、RPAの導入を検討している方で以下のようなお悩みはありませんか?
上記のお悩みがあってもポイントを押さえればRPAで自動化できます!
人間の頭で処理している複雑な作業も繰り返ししている作業であっても判断基準を明確にしてルールを整理すればRPAでの自動化は十分可能です。
例外処理が多いというご相談もお伺いすることがありますが、例外処理のケースも実際には例外として処理するための判断基準やルールがあるケースが多いので、自動化を機に曖昧になっているルールや業務フロー、フォーマットを整備することで自動化と業務効率化を実現できるケースもあります。
次のフェーズでは、100種類あるフォーマットを使用した明細書作成業務自動化成功事例を紹介します。
100種類あるフォーマットを使用した明細書作成の自動化成功事例
100種類あるフォーマットを1種類のフォーマットにまとめて自動化成功!
事例概要
複数のデータ管理資料から数値をピックアップし、約100種類の明細書を作成し、作成した明細書のデータをSAPに登録する
実際にこの業務を自動化するにあたって実施した内容とかかった時間は以下の通りです。
- 業務フロー見直し&フォーマット改訂:約6か月 (打合せ8回)
- 開発:2~3か月
- 対象プロセスの詳細ヒアリング&ロボット設計書作成
- ロボット開発&単体テスト
- UAT(ユーザー受入テスト)
- 本番リリース
- 運用ハイパーケア
自動化における課題と解消方法
今回の自動化で一番の難関は、ルールが統一されていないことです。
業務の流れは一見簡単そうに見えますが、ユーザー様に業務手順をヒアリングしたところ、3つの課題を見つけました。
課題1.明細書作成に必要なデータが複数の管理資料から抽出され、作成タイミングや時期によって計算基準が変わる
課題2.明細書のフォーマットは担当者によってバラツキがあり、全てリストアップしてもらったら約100種類あった
課題3.SAPに登録する際に各種管理資料と明細書から必要なデータを取得しており、担当者感覚でやっている部分が多い
上記課題の通り、ルールが整理されていない、担当者依存の部分が多い業務ですので、このままでは自動化できない、自動化できたとしても開発/メンテナンスの工数がかかり、ROIが取れないと判断しました。自動化するためには、まずは業務フローの見直しから着手する必要がありました。 私たちが実際に行った業務フロー見直しのポイントおよび課題の解消方法をご紹介させていただきます。
業務フロー見直しポイント
- 業務全体フローの中で自動化できる箇所を選定
- 明細データ取得方法の改善
- 明細書フォーマットの統一
- SAPの個別登録を一括アップロードに変更
上記見直しポイントで具体的に実施した内容は以下の通りです。
- 業務全体の自動化を辞めて、自動化可能な箇所を選定して見直しを行う
今回の業務で、複数の管理資料からデータの取得/計算の部分を自動化から除外しました。
理由としては、①各種管理資料は様々な部署で作成/取り扱っているため、フォーマット改訂することは困難、かつ②データの計算方法は様々な条件や状況によって人間の判断が必要のため、自動化するのは難しいと判断いたしました。 - 明細データを1つのマスタに管理する
明細書作成に必要なデータをまとめて入力できる管理マスタを新規作成しました。選択可能な項目は選択リストにまとめ、「条件に応じて入力」の可変項目を6個まで絞りました。 - 約100種類の明細書フォーマットを1つに統一する
現在使用しているすべての明細書フォーマットの要素を分解し、必須/任意/例外のパターンを整理し、1つのフォーマットに統一した明細書のテンプレートを新規作成しました。 - 明細書データをSAPに個別登録から一括アップロードに変更する
SAPの個別登録では、登録する画面が多く変わるため、操作する手間がかかります。SAPのアップロードフォーマットに合わせて必要なデータを作成することによって、画面上の操作はアップロード画面を開いて、ファイルを選択してアップロードするのみですので、開発工数も操作手順も簡潔化できました。
上記改善内容を実施することで自動化による作業負荷の削減だけではなく、業務手順の簡略化も実現しました。
業務フローの見直しを行ったうえで、全体の業務流れは以下の通りになりました。
- (担当者)マスタファイルに作成したい明細書の情報を記入する
- (RPA)マスタの情報を基に明細書を作成する
- (RPA)SAP一括アップロードシートを作成する
- (担当者)明細書とアップロードシートを確認し、SAPにアップロードする
業務改善によるRPA自動化の結果
100種類あった明細書フォーマットを1つに統一し、業務の自動化によって、年間で約4,800時間の削減効果を実現しました。
※削減効果の内訳:毎月5人×10日(80時間)=月間400時間×12か月=年間4,800時間
自動化にあたってのポイント
業務手順の規則性を探す・見直すことが自動化成功の近道!
自動化するにあたって重要なのはルールを統一することです。 「人が判断しているフローが多い」「フォーマットが多い」などの理由で自動化出来ないと思われている業務フローでも、判断基準の整理、フォーマットの見直し、業務フローの再構築等を実施することでRPA活用できる業務もたくさんあります。
私たちのような外部のリソースがお手伝いすることでRPA導入の成果を拡大できる事もあります。思い当たる業務があれば、自動化ができそうな箇所の検討も含めてサポートすることもできますのでぜひ私共の「RPA削減効果調査サービス」でご確認いただければと考えます。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。
ペネトレイター株式会社 土岐