BizRobo!変数とタイプファイルの使い分け

RPAツールを使う際に、値の受け渡しに「変数」という概念があります。BizRobo!の中で、変数の概念を利用する際に、「変数」と「タイプファイル」という機能が存在します。タイプファイルとはどのようなものなのか?変数とタイプファイルの違いななんなのか?本記事では変数とタイプファイルの使い分けについてご紹介していきます。

BizRobo!での変数の利用方法

変数とタイプファイルの特徴を掴みましょう!

冒頭でもお伝えした通り、BizRobo!の中で値の受け渡しには「変数」と「タイプファイル」、2種類の機能があります。

変数とタイプファイルとは?

  1. 変数

変数とは、データを格納する「箱」のようなものです。

ロボットを実行している際に、必要に応じてデータを「箱」に「格納」することができ、使いたい時にその「箱」から取り出すことができます。

変数は一般的なRPAツールの中で機能として用意されています。

  1. タイプファイル

タイプファイルとは、複数の変数を1つ大きい枠にまとめる「段ボール」のようなものです。

ロボットを実行する際に、用途ごとに「段ボール」タイプファイルを作って、必要な「箱」変数を格納することができます。

タイプファイルはBizRobo!の中で変数を便利に使える機能です。

変数のメリットとデメリット

  1. メリット

各ロボットで簡単に作成でき、変数名は日本語対応できます。
一時的なデータ保存や条件分岐のパラメータなど様々な場面で活用することができ、必要な時にすぐにデータを取り出して利用することができます。
小規模なプロジェクトや、単一のユーザーが開発をする場合に向いています。

  1. デメリット

ロボットで横断して使うことができないです。複数のロボットで構成されるプロジェクトには向いていないです。

また、変数の数が多ければ多いほど、どこでなにに使われている変数なのかがわからなくなり、同じ用途の変数が複数作成されるなど、管理が難しくなります。

タイプファイルのメリットとデメリット

  1. メリット

同じ処理で使用する変数を一か所にまとめて管理することができます。

ロボットで横断して使うことができます。複数のロボットで構成されるプロジェクトで同じタイプファイルを使うことができるので、同じ用途の変数を複数回作成する必要がないです。メンテナンスの手間も省けられます。

  1. デメリット

タイプファイルの作成画面がロボットとは別にあるため、ロボットを開発する前に予め作成する、または開発の途中に画面を切り替えて作成する必要があります。

変数とタイプファイルのメリットとデメリットをわかったところで、具体的にどのように使い分ければいいのか、次の章で弊社の開発標準を元にご紹介いたします。

変数とタイプファイルの使い分けルール

変数?タイプファイル?どっちを優先して使うべき?

機能としては変数もタイプファイルも、ロボット開発にあたってほぼ同じように使えることができます。その中で、我々の開発経験から見出したベストプラクティスをご紹介させていただきます。

簡単にまとめさせていただきますと、

  1. 1つのロボットで完結できるプロジェクトは変数
  2. それ以外のプロジェクトは基本的にタイプファイルを使用し、特定のロボットで1回しか使わない変数のみロボット内で変数を作成

こちらの2点になります。

なぜ決めたのかといいますと、理由は以下の4つです。

  1. 1つのロボットだとわざわざタイプファイルを作る必要がない
  2. 複数のロボットがある場合は各ロボットの変数をタイプファイルで一元管理できる
  3. 同じプロジェクト内でタイプファイルを再利用できる
  4. 1回しか利用しない変数をタイプファイルで作成する必要がない

こちらのルールを統一していただければ、変数の管理が簡単であり、ロボットの開発やメンテナンスの時間も短縮することができますので、お勧めいたします。

具体的に、変数とタイプファイルをそれぞれどんな場面で使うのか、変数とタイプファイルを複合的に使う時の注意点はどうなのか、次の章で使用例を踏まえて説明いたします。

変数とタイプファイルの使用例

この3つの使用例を押さえれば、変数とタイプファイルはマスター!

実際の開発の際には変数とタイプファイルを使いわけることが多くなると思います。

ここでは事例を交えて使用例をいくつかご紹介していきます。

変数を利用する事例

ロボットで取得したい値を変数として使用したい場合は、変数の機能を使用してロボットの中で随時登録することがおすすめです。

例えば、以下のような事例で使用できます。

事例1.未検収商品のリストをダウンロード処理

  1. サイトから未検収商品のリストをダウンロードする
  2. ダウンロードしたファイルの名前に今日の日付を入れる
  3. ①②の処理をサイト上に存在するデータ数分繰り返す

「今日の日付」 は1度取得してしまえば処理中に変化することのない値です。
そのため変数を使って日付の値を取得し、繰り返し処理を行いデータを上書きしていきます。1つの変数だけを使うことで、可読性を高めることができます。

タイプファイルに紐づかない変数(シンプルタイプの変数)は繰り返し回数、計算、Excel変数でグローバル設定をする場合など、一時的にデータを格納したい場合に使用します。
ここでは繰り返し同じ変数にデータを格納するために使用しています。

タイプファイルを利用する事例

ロボットの中で元々使用することが決まっている値はタイプファイルであらかじめ必要な変数を作成し、値を格納しておいて使用するのがおすすめです。使える場面としては、以下のような事例が該当します。

事例2.配送情報メールの送信業務

  1. 配送状況の情報が格納されているシステムへログイン
  2. 対象の配送業者の情報(配送業者名、メールアドレス、宛先名)を取得
  3. 各配送業者別に配送情報がまとまったPDFをダウンロード
  4. 対象配送業者へダウンロードしたPDFを送信

対象の配送業者の情報(配送業者名、メールアドレス、宛先名)をタイプファイルにまとめて管理します。
1つの業者に対する情報を、グループ化して管理することでロボットの可読性が上がりますし、特定のセグメントでメールを送信する際に、一貫したデータ形式により効率的に作業を行うことができます。
同じプロジェクト内であれば、タイプフィルにまとめた対象の配送業者の情報を再利用することもできます。

変数とタイプファイルを複合的に利用する事例

ロボットの中で取得する値とあらかじめ特定のデータから取得することが決まっている場合は、変数の機能とタイプファイルの機能を複合して使用しましょう。

具体的な方法としては以下の事例の通りです。

事例3.注文情報取得処理

  1. 各注文サイトのURLをまとめたExcelから情報を取得する
  2. ①で取得したサイトにアクセスする
  3. ②のサイトから注文情報(注文情報、顧客名、購入商品、金額)を取得する
  4. 取得した情報をExcelにまとめる
  5. ①~④の処理を、①のExcelに記載されているURL分実施する

あらかじめ各サイトのURLを記載してあるExcelファイルを用意し、そこから取得したURLを変数に代入します。繰り返し処理していく中で1つの変数に上書きしていきます。
サイトから取得した注文情報はタイプファイルを作りグループ化して管理します。
このように一時的なデータ保存に向いている変数と、データの一元管理ができるタイプファイルをそれぞれ活かして使用しています。

上記の使用例から、変数は「単純なデータ」、タイプファイルは「構造化されたデータ」を扱うのを得意としています。

また、複合的に変数とタイプファイルを使用することで、柔軟に情報の取り扱いを管理することができます。

いかがでしょうか?変数とタイプファイルの使い分けについて少しでもイメージができましたでしょうか?BizRobo!だけではなく、弊社ではUiPathやAutomation 360を使って様々な業務を自動化してきました。このような「わかるようなわからない」ツールの使い方から、業務の自動化の進め方など、いろいろとご支援させていただいております。

RPAによる業務自動化について、なにかお困りのことがありましたら、お気軽に弊社までご相談ください。

本記事の執筆者

ペネトレイター株式会社 髙村