RPA開発で重要な「開発工程」の各工程を詳しく説明します!

どのようなシステム開発でも目的に沿って道筋を立てることが重要なポイントとなってきます。その際にプロジェクトに沿った開発手法を選択し、計画をたて進めることが重要となります。そもそもRPA開発でどのような工程があり、各工程でなにをしたらいいかわからないことが多いではないでしょうか。今回はRPA開発における開発工程を各工程の内容も踏まえて解説いたします。


開発工程が重要な理由

そもそもRPA開発で正しい開発工程を踏むことが重要な理由とは?

RPA開発において、開発工程が重要と言われる理由は3つあります。

RPA開発を関係者全員で合意した状態で進めるため

RPA開発プロジェクトがうまく進まないことの多くの原因は、発注者と開発者の認識のずれがあることです。開発工程の初めの段階「要件整理」で、RPAの動作を明確にし、関係者間で合意を持って進めることができます。それにより認識のずれをなし、想定通りの動きをしたRPAを開発することが可能です。

開発状況を見える化し管理しやすくするため

RPAの開発といっても、設計やテストなど様々な作業が発生します。その作業を一律の工程として決めておくことで、開発の進捗や遅延状況が分かりやすくなります。 特に複数の開発者が従事するような大きな自動化プロジェクトの場合には、開発工程に沿ったスケジュール管理が大きな役割を担っていきます

RPAの品質を保持するため

開発者個人の経験やスキルが原因により、RPA開発品質のばらつきが発生することがあります。同じ手順で同じ工程を踏んで開発を進めることによって、RPAの品質を少なくすることが可能です。また、開発後に開発経験が豊富な開発者によるロボットのレビューを行うことによって、よりRPAの品質が保たれた状態で運用することができます。

上記3つの理由から、開発工程を正しく踏むことで最短でかつ低コストで質の良いRPAを開発することが可能です。次の章では、RPA開発工程について、弊社での実施例を使って解説いたします。

リリース完了までの9つのプロセス

RPA開発では9つのプロセス(①要件整理 ②設計書作成 ③開発 ④単体テスト ⑤UAT実施 ⑥本番移行 ⑦本番稼働 ⑧ハイパーケア期間⑨運用フェーズへ移行)が存在します。その9つのプロセスを一つずつ解説いたします。

要件整理

実施者:開発者、発注者

要件整理では、RPA開発対象となる業務の手順を明確にする工程となります。手作業で行っている業務内容をRPAに落とし込むために、開発者が同じ業務を実施できるレベルまで詳細を確認していきます。     

設計書作成

実施者:開発者

要件がまとまり、関係者全員で合意が取れた後はロボットの設計を行います。手作業での業務手順をそのままRPAに落とし込むのではなく、RPAに適した処理方法・手順を設計することでより安定したRPAの作成を実現することが可能です。

設計書作成の詳細につきましては以下のコンテンツをご覧ください。

参照:RPAでロボットを作成する時の仕様書の作り方

開発

実施者:開発者

設計した内容を実際にRPAに組み込む工程となります。RPAを作成する際には誰が見てもわかるように作成することが重要です。可読性のあるRPAを作成することで今後の改修や管理がとても行いやすくなります。

※こちらのプロセスで、開発初心者が開発したRPAを経験豊富な開発者がレビューするフェーズを追加するとなおよしです!

単体テスト

実施者:開発者

開発を行った後にRPAの動作にエラー要因が無いか確認するために実施します。その際にテスト環境でテストを実施します。またエラーが発生しないことも重要ですが、設計通りの動作になっているか、想定された成果物が出力されているかも確認ポイントとなってきます

UAT実施

実施者:発注者

UATは別名ユーザー受け入れテストともいわれ、発注者側が動作確認および検収を判定するために実施する工程です。こちらもテスト環境でテストを実施します。開発者が開発したRPAが要件整理で合意した仕様になっているか確認していきます。

単体テストとUATの詳細につきましては以下のコンテンツをご覧ください。

参照:RPA開発で重要なテスト工程。その理由と流れを解説!

本番運用前の事前準備

実施者:開発者・発注者

テスト環境でのUATも完了し、RPAの動作・仕様に問題ないことが分かれば、次は本番環境でRPAを実行する準備を行います。準備する内容は以下の通りです。

  1.  RPAの稼働方法の設定

何時にどのくらいのスパンでRPAを実行するのか要件整理の段階で決まっているため、その決まった設定をRPAに組み込みます。また他のRPAとのスケジュールの調整もこの工程で実施します。多くのRPAを使用している企業では、1つ端末で複数のRPAを実行している場合があります。そのため端末の空き状況も含めて検討する必要があります。

  1.  本番実行機の用意・環境整備

前の工程まではテスト環境で開発・テストを実施していました。すべてのテストが完了したら、実際に業務上で使用しているフォルダやドキュメント、サイトやアプリケーションの設定を変更して運用していきます。そのために端末の準備や環境設定等をこのフェーズで行います。

本番稼働

実施者:開発者・発注者

初回稼働の見守りを行います。RPAが正常に終了されているのか、正しい成果物が作成されているのか、開始から終了まで、稼働結果を確認します。次の工程では、実際に本番環境で稼働を開始していきます。本番環境に移行した際、端末や環境の差異でエラーになることが多いです。その際に開発者はRPAが安定稼働するようエラーの改修や調整を行います。

ハイパーケア期間

実施者:開発者・発注者

本番稼働を開始後、運用フェーズに移行するまで一定期間を設けてRPAの安定性を確認します。事前に単体テストとUATを実施したとはいえ、環境が変われば環境依存のエラーが発生する可能性があります。ハイパーケアの期間では環境依存のエラーを開発者が改修し、より安定して稼働できるRPAを調整します。

運用フェーズへ移行

実施者:運用チーム・プロジェクト管理者・発注者

ハイパーケア期間が終了後、RPA運用チームの管理のもとRPAの運用が開始されます。日々のエラー対応等はRPA運用チームが行うため開発者の作業はここで終了となります。運用フェーズへの移行が完了した後は、予定していた自動化の効果、ROI測定といった利益率の確認を実施します。

安定したRPAを運用するために必要な開発工程

上記で取り上げた開発工程の一つでも抜けていると、安定稼働するRPAを開発・運用することは難しくなってきます。また工程を守らず進んでしまうと、開発スケジュールの進捗状況や責任の所在、どこで問題を発生しているのかが不明瞭となり、プロジェクトの完了の阻害要因となります。そのため開発工程はプロセスを段階的に進んでいくことが大切です。

ただし、実際にRPA開発を進めるうえですべてのプロジェクトが同じプロセスを進むとも限りません。企業のポリシーによってプロセスの増減、または該当プロセスの実施条件や詳細流れを調整することも重要です。

今回のプロジェクトはどのような工程で進めばいいのか?具体的にどう進めばいいのか?各開発工程のスケジュール設定はどのように考えればいいのか?など、RPA開発に関する進め方についてご不明な点がありましたらぜひ弊社にご相談ください。これまでのRPA経験を基によりよい計画を立てていくことが可能です。また開発工程に関わらず、RPA関連のご相談もお問い合わせください。

本記事の執筆者

ペネトレイター株式会社 杉山葵