Windows10からWindows11へ切り替えた際のRPAの対応

Windows10が2025年10月14日にサポート終了することが発表されました。すでにWindows11にアップデートを計画されている中で、RPAを導入されている会社ではWindows10で開発したロボットのWindows11で動作するように移管することにお悩みを感じているケースもあるのではないでしょうか。

Windows 10 サポート終了とWindows 11, Windows 365, ESUの計画について

Windows10の環境で開発したロボットをアップグレード後の環境でも使用できるようにするにはWindows11の仕様に合わせて改修対応が必要です。

弊社では大まかに以下の手順で対応しています。

  1. 事前準備
  2. 改修の対応を検討
  3. 調整を実施

本記事では上記の対応の手順でそれぞれどのような準備と対応が必要なのかをご紹介いたします。

Windows 11移行先環境における事前準備

スケジュールを立てて調査を進めましょう

移行先環境でどのロボットがエラーになるか、どう改修を行うかを決めるため、事前のスケジュールの作成が大切です。具体的には以下の手順でスケジュールを立てましょう。

Windows 11の端末を用意する

必ずしも動作環境が異なることが原因でロボットがエラーになるとは限りませんが、画面の仕様が変更になることでロボットがうまく処理対象のオブジェクトを認識できなくなるケースが多いです。そのため、どの部分でエラーになる傾向があるかを確認するためにも、移行先の環境を用意する必要があります。

現在稼働しているロボットをすべてリストアップする

現在稼働しているロボットのうち、どのロボットがエラーになるかの洗い出しを行うため、一度稼働しているロボットをすべてリストアップします。稼働していないロボットは調査すること自体無駄な工数となるため、使用予定がないのであれば、リストアップするする必要はないため、このタイミングで社内のロボットの棚卸しをすることをお勧めします。

調査のスケジュールを立て

リストアップしたら、ロボットの数や調査に必要な時間から全体でいつまでに、どのように調査を行うのかのスケジュールを立てます。また、業務の緊急性が高い・処理が複雑な業務ほど優先順位を高く設定して優先して調査することで効率よく調査・改修を進められます。

このような手順で事前準備することにより、抜け漏れを回避できる、かついつまでに何が終わらないといけないのかが明確になるので、進捗の管理もしやすくなります。複数のロボットの調査・改修を行う際は、必ずスケジュールを事前に立ててから調査改修に取り組みましょう。

改修の対応方法を検討

改修箇所をピックアップし、改修方法をナレッジとして蓄積することがポイント

Windows11の改修が必要な箇所の調査スケジュールを立てたら次は改修スケジュールを立てるために、改修ポイントをピックアップします。

立てた調査スケジュールを基に、各ロボットでは以下の手順で調査を進めましょう。

まずはWindows11の環境でロボットを動かす

まずはロボットをWindows11の環境で動かしてみて、そもそもエラーは発生するのか、発生した場合はどの部分でエラーになるのかを検証。この段階でエラーがなければWindows11の環境で運用可能です。エラーがあれば次項目以降の手順を続けて検証します。

エラーが発生した場合、原因の特定と解消方法を調査す

前の項目で特定したエラーの箇所から、なぜこの部分がエラーになるのかの原因を特定します。画面UIの変更、アプリケーションのルートパスの変更、RPAツールがWindows11のバージョンにまだ対応していないなど、様々なエラー原因が想定され、各原因に対する対応方法も異なります。原因を特定したら、実際にロボットを調整してみて、解消方法を調査しましょう。

エラー発生箇所と解消方法については社内の共有ナレッジとしてまとめておく

解消方法が特定できたら、エラーの原因と解消方法をセットで社内の共有ナレッジとしてまとめましょう。調査を行った結果は必ず記録を残すことでより改修効率を上げることができます。

理由としては以下の2点が挙げられます。

  1. Windows11のアップグレードによる改修対応は稼働中のすべてのロボットが改修対象である
  2. 環境の変更によるエラーがほとんどのため、エラーが起こる箇所はほとんどのロボットで共通している可能性が高い

ですので、エラーが発生した箇所と解消方法については他のロボットでも同様のエラーが発生した場合に解消までの時間を短縮するために社内のナレッジとして共有するようにしましょう。

上記のような手順で調査を進め、ロボットに対する調査の状況や結果を残すことで、不要な再調査や改修方法の検討を省略することができます。残したナレッジはさらに次のWindowsのアップグレードや、ほかの改修時に使うこともできるかもしれません。エラーの発生ポイントの調査結果は必ずナレッジとして残しましょう。

特定した改修ポイントの調整対応

弊社での対応をご紹介

エラーの発生ポイントと解消方法をある程度特定し、ナレッジとして格納したら、実際にすべてのロボットで調整を進めていきましょう。

RPAツールの特徴などによっても対応が変わりますので、今回は弊社が現在主に使用しているAutomation AnywhereのAutomation 360での実例を基にご紹介いたします。

【ケース1 Excel操作がうまくいかない】
<エラー内容>
「Excelの高度な操作」で一部のアクションが機能せず、エラーになる。
<対応方法>
「Excelの高度な操作」のパッケージを「6.14.0-20221221-171419」に変更。
<コメント>
Automation 360ではアクションのパッケージを任意で変更可能なため、パッケージを変更することでうまく動作することがあります。特定の操作のみ機能しない場合はまずはパッケージの変更を試してみることでエラーを解消できるかもしれません。

【ケース2 Outlookが開けない
<エラー内容>
アプリケーションの「プログラム/ファイルを開く」でOutlookが開けない。
<対応方法>
Windows11ではOutlookの格納先が変更になっているため、「プログラム/ファイルを開く」の設定で開く対象のルートパスをWindows11での格納先である「C:\Program Files\Microsoft Office\root\Office16」に変更。
<コメント>
アプリケーションの情報のなどが変更されている場合、ロボットの設定を変更後の情報に変えることで対応可能です。

【ケース3 キャプチャが機能しない
<エラー内容>
印刷ダイアログのUIがWindows11へのアップデートで変更になり、既存の「キャプチャ」の設定では機能せずエラーになる。
<対応方法>
「キャプチャ」を再度取得。
<コメント>
Windowsのアップグレードのみならず、ブラウザやアプリケーションなども度々UIの変更が入ることがあります。この場合、「キャプチャ」を再度取得することで新しいUIでもロボットが機能できます。

このように、エラーの発生ポイントやRPAツールの特徴によって必要な改修の対応が異なります。例としてAutomation 360ではまずはパッケージ変更やアクションの再挿入を試して、これで解決できなければ設定の変更などを試してみてください。

システムの進化に伴い、それをメンテナンスする作業も発生します。しかし自社だけではRPAのメンテナンスを賄えない、もしくはメンテナンスのやり方がわからないという企業もあるのではないでしょうか?

そんな時はRPAのプロに任せるのはいかがでしょうか? 私たちならそのお悩みを解決できます。ぜひご相談してみてください。

本記事の執筆者

ペネトレイター株式会社 髙橋