RPAはよく「命令に従順な新人」とたとえられ、特に繰り返し行う定型作業に向いています。定型作業とは「勤怠システムへの勤怠入力」、「在出庫情報の登録・更新」「請求書の作成」など会社によっては毎日膨大な作業量となる「フォーマットが決まっている」作業のことを指します。この定型作業を行う頻度と件数が多いほど、自動化することで得られる費用対効果が大きくなります。
その一例として、人材派遣会社における契約更新業務があります。労働者派遣契約は2~3か月で契約を更新されることが一般的ですが、契約書記載事項も多いため、作業分量が多くなりがちです。この業務をどのようにして自動化してどれくらいの削減効果が得られたのか、事例を使ってご紹介させていただきます。
目次
人材派遣管理システムに手動で登録する必要性
手作業は時間がかかる上にミスも多い!
先ほども記載したように派遣契約の期間は一般的にも2~3か月で契約を更新するケースが多く、頻繁に情報の更新や登録が必要になります。
業務を人的リソースによる入力に頼り続けることには、以下のようなリスクがあります。
登録するにはコストがかかる
ここでのコストは時間的コストと費用的コストを指します。
登録に必要な時間は「1件当たりの登録時間」×「登録する件数」=「必要時間」となり、派遣社員の人数が多くなればなるほど、必要な時間がかかります。
登録作業で発生する主な費用的コストは人件費であり、人件費は「登録に必要な作業員の数」×「登録時間」×「人件費単価」=「人件費」で計算され、やはりこちらも登録の時間が人件費に大きく関わっています。
<時間的コストの削減>
そもそも登録件数は調整不可能なので、1件当たりの登録時間を減らすことが時間的コストの削減方法となります。
この場合、「登録が簡易のシステムを使う」、「登録する情報を減らす」などが実際の方法となりますが、削減効果は低く、効果的ではないかと考えます。
<費用的コストの削減>
時間以外の部分では「登録速度が速い人員を配置する」、「作業員の人件費単価を下げる」などの方法があります。「人件費単価を下げる」のは費用面での削減効果は高いが、同時に作業員の不満を募ることになり、長期目線で見るとむしろ会社にとってはデメリットになりかねません。
人的ミスが発生しやすい
人間だれしもミスをします。しかしヒューマンエラーが起きた場合、その対応にもかなりのコストがかかります。
例えば以下のようなミスが起きたとき、それぞれ付随して別の問題も生じます。
- 案件先の登録ミス
社内だけでなく、案件先にも損失を与えかねなく、場合によっては取引自体がなくなる可能性もあります。 - 勤務時間の登録ミス
正しい時間で請求ができなくなり、遅延・欠勤として登録した場合は派遣社員の評価に繋がる場合もあります。 - 請求の登録ミス
金銭面でのトラブルは信頼に直結します。また、修正で時間を要した場合は支払いの遅延にも繋がります。
また、ミスを減らすには複数人でチェックを行うことである程度防ぐことはできますが、完全になくすことは難しいうえ、チェックを行う人員や時間も追加で必要になります。
作業員が不在となると業務が停止する
人的リソースに頼り切りになると、いざ登録を行う人員が急遽休みになったり、近年発生したコロナのようなパンデミックが起きたり、または自然災害が発生した際は、業務が一部ないし全部停止することも考えられます。
業務が停止しないために、業務にあたる人員をあらかじめフォローできる体制や、リモートワークなど場所を変えても作業ができるよう環境を整えるなどの対策が考えられますが、いずれも時間とコストがかかります。
それらの問題はRPAによる業務の自動化を行うことによって、解決することが可能です。詳しくは次の項目で紹介します。
RPAで登録作業を行うメリット
RPAで登録作業を自動化する場合、以下4つのメリットが挙げられます。
作業時間の短縮
ロボットは手動で登録するより、高速に処理することが可能です。そのため、1件当たりの登録時間が短縮され、登録件数に比例して時間の削減効果が高くなります。
人件費の削減
ロボットの実行中は担当者がほかの作業ができるため、登録業務に人員を割く必要がない分、結果的に人件費の削減ができます。昨今の人手不足の対策として、登録作業をロボットに任せることも時代の流れと言えます。
正確に業務を行う
ロボットは命令の通り業務を行うので、人間と違ってヒューマンエラーが発生しません。金銭など一つのミスで大きな損失を出しかねない業務も、ロボットなら安心して任せることができます。
時間を問わず実行可能
ロボットの実行時間をあらかじめ指定することにより、場所・時間を問わずに実行可能になります。夜間に実行して、翌朝成果物を確認するなど、用途に応じて設定を行うことが業務の効率化につながります。
弊社における業務改善の事例
今回は人材派遣管理システムを利用する業務の自動化を成功した事例を1つご紹介します。
業務の内容は、「新規登録する派遣社員の派遣情報」や、「契約更新時に変更された派遣社員の派遣先情報」をシステムに登録・更新する作業です。
<自動化する際の手順>
- 人材派遣管理システムにログイン
- 派遣社員の派遣先情報を管理している管理表を開く
- 管理表の情報を取得
- 取得した情報を人材派遣管理システムに登録
- 新規の場合は案件先の情報の登録も行う
- 人材派遣管理システムをログアウト
- 管理表を閉じる
<自動化の業務フロー図例>
※事例紹介用のフロー図のため、実際の設計書のフロー図とは一部異なります。
上記の自動化の依頼理由としては、複数の拠点の登録を行う必要があり、登録業務に多大な時間がかかり、登録業務以外の業務に手が回らないことでした。
そしてRPAによる自動化をすることで、業務ユーザーがほか業務にリソースを割くことができただけでなく、今まで発生していたミスによる無駄な確認・修正が必要なくなりました。
特に繁忙期では普段より処理件数が多く、作業時間が多く必要としていたのが、ロボットでは業務時間外で更新・登録を完了させ、翌営業日に確認するだけとなり、業務改善の効果も得られました。
まとめ
登録作業に追われ他の業務に手を回せていなかったり、登録作業の人員自体の確保に困っていませんか?RPAならこれらの問題を解決できます。
また、上記自動化事例や効果はほんの一部になります。ほかの事例や詳しい削減効果、業務をどのように自動化するのか、自動化するときの注意点など、もっと知りたい方はぜひ弊社までご相談ください。
ペネトレイター株式会社 髙橋