RPAを導入してからしばらく経ったところで、「全社展開が中々できない」、「開発基準がバラバラで管理が難しい」などといったお悩みはありませんか?
RPAではCoEと呼ばれる管理体制があります。RPAを運用していくなかで、CoEの組織体制は必要不可欠です。企業の特徴に沿ったCoE体制を構築することで、上記のようなお悩みを解消することができます。
このコンテンツは、CoEとは何なのか、CoE体制を構築することにあたってどのような役割が必要になるのかについてご紹介させていただきます。
CoEとは
CoEとは特定の分野を推進する上での中心チームのことを指す。
CoEとは「Center of Excellence」の略で、企業や組織内で特定の領域や分野においての専門知識やスキルを持ち、運用などを推進するチームのことを指します。
RPAにおけるCoEは、企業や組織内でRPAの導入から運用まで、RPA運用のベストプラクティス、調査、トレーニングなどを提供し、新たな試みに向かって率いていくRPA推進の中核組織のことを指します。
次のフェーズではRPAでCoE体制を構築する目的と、どんな役割があるのかについてご紹介いたします。
RPAにおけるCoE構築の目的と構成要素とは
役割と責任を明確し、標準を定めることでリスクとリソースの最適化を目指す!
RPAでCoEを構築する目的
RPAでCoEを構築する目的は以下3点あります。
標準化、生産性の向上
品質の高いロボットの開発・運用能力を開発標準を定めることによって、効率的に開発・運用を進める事ができます。開発標準を定めるには、個人開発者に依存せず、組織として標準となるベストプラクティスを決めて、提供することが大事です。
弊社が取り扱っているRPAツール、UiPath、Automation 360、BizRobo!の開発標準のコンテンツもありますので、ぜひご参考ください。
リスクの最適化
開発標準やRDLC(RPA Development Life Cycle)を定めることによって、RPAの開発から運用まで、一環性のあるプロセスを可視化になり、インシデントを最小限に押さえ、インシデントが起きたときでもプロセスに沿って対応することが可能です。
RDLCについては、以下のコンテンツで詳しく紹介していますので、ご確認ください。
ビジネスの一括管理
新しいツールを導入する際に、新しいビジネスと業務のあり方を積極的に考えて、進めることが大事です。RPAツールを導入することで達成すべき目標や発生する課題の解決方法など、KPIの共有と目標に目指すためのソリューションの改善を常に意識して考えることで、より高い効果を得られることができます。。新しいビジネスに関わる全員が同じ目線で同じ目標を目指すには、リーダーシップの役割を果たすCoEが重要となります。
RPAのCoE構成要素
RPAのCoEを構築するための6つの役割をご紹介いたします。
CoEモデル
CoEと言っても、企業の管理方針によってCoEの役割が大きく変わります。CoEを構築する際に、自社の管理・運用体制をどのように考えているのか、各種役割をどのように配置するのか、明確に決める必要があります。ただし、CoEのモデルを1回決めたら変えられないわけではなく、RPA導入の時期や運用の流れによって、その時に適切なCoEモデルを選ぶのが重要です。
次の章ではCoEモデルについて詳しくご紹介いたします。
人材
RPAツールは市民開発が推奨されることが多いため、社内のトレーニングやスキル認定制度を設けて、既存の社員の中で開発者や運用メンバーを育成していくことが多いです。
運用モデル
RDLCを正しく運用することで、RPAによる自動化業務の選定から運用まで、各種プロセスを抜け漏れなく、スムーズに進めることができます。RDLCを定めるのもCoEの構成要素の重要フェーズです
推進
RPAツールの導入効果は、たくさん使えば使うほど、削減効果を得られます。RPAツールをたくさん使ってもらうためには、RPAツールを社内で宣伝し、推進活動を進めていくことが大事になります。
リスクマネジメント
RPAによる自動化は業務の効率化に多く貢献しておりますが、セキュリティ観点やRPA運用中に発生するエラー対応によるリスクがあります。他のツール同様、システム導入時のリスクマネジメント体制を明確していくことがRPA運用時に必要な役割です。
ナレッジベース
RPA開発・運用のナレッジを一か所に集約し、開発者が誰でもアクセスできるナレッジベースを用意することが推奨されます。開発者のコミュニティを用意することで、ナレッジの横展開ができ、より効率的にRPAを開発・運用することができます。
RPAのCoEモデルの種類と選定方法
CoEモデルは導入フェーズに合わせて変えることも可能!
CoEの形成と進行
CoEの形成は大きく分かれて3つのフェーズがあります。
スタートアップ(RPAツールを導入から6か月まで)
スモールスタートを心掛けて、いち早くRPAの削減効果を得ることを重きに置きましょう。RPAツールは運用し始めた瞬間から効果を得られるものなので、導入直後は大きい削減効果がある業務より、簡単に自動化できるような作業から着手するといいです。自動化の実績を作りながら、CoEモデルを選定して構築していく、開発標準や運用ルールを定めていく、体制づくりによって自動化の遅れが出ないように同時進行します。
迅速な拡張(RPAツールを導入6か月から12か月まで)
体制や開発フェーズが決まったタイミングで、自動化のナレッジもある程度貯蓄した状態で、スモールスタートの効果も得られる時でもあるので、CoEがリーダーシップを取って、意欲のある部署から展開していきます。このフェーズで一番大事なのは、開発者の育成と各部門のリクエストに応える主幹運用体制になります。市民開発はもちろん重要ではありますが、一部アウトソーシングの力を借りてもいいかもしれません。
全社展開(RPAツールを導入1年以上)
RPAによる自動化のノウハウが蓄積していく中で、より多くの部門や人がRPAのメリットを享受するためには、全社への展開が必要不可欠となります。CoEもこのフェーズになると、開発・運用の専任人員をアサインすることになります。市民開発とアウトソーシングの総合運用がお勧めです。定めたルールを守りながら、高品質・ハイスピードの自動化は専門家に頼るのも重要です。
上記ご紹介させていただいた通り、導入フェーズによって適切なCoEモデルがあります。続いては、それぞれのCoEモデルをご紹介できればと思います。
導入フェーズに合ったCoEモデルの選定
今回ご紹介させていただくのは、一般的に導入されるCoEモデル3種です。
部門主導型(分散型)
一言でいうと、各部門で開発意欲のある人が自分の業務を自動化するモデルです。
業務の選定から運用まで、各部門で進めることによって、自動化対象業務の手順が一番わかる人がロボットを開発するので、業務手順の整理やフローの設計が比較的に容易になります。ただし、開発ルールがバラバラで、属人化のロボットが出来上がりやすいです。
CoE主導型(集中型)
部門主導型とは真逆で、開発者の人員を予めアサインする、もしくはアウトソーシング利用で専任の開発部門を立ち上げ、業務フローの整理から運用までCoEで一括管理するモデルです。専任の開発者がロボットを開発するので、品質の高いロボットが開発されるメリットがある一方、開発要員が限られているため、短期間で多数のロボットを開発完了するのは難しい場合があります。
ハイブリッド型(連携型)
いわゆる部門とCoEが連携し、管理体制はCoEに集約するが、市民開発とアウトソーシングが融合して、より短期間で品質の高いロボットを開発できるようになる体制です。RPAの開発・運用ルールが整備され、効率よく一貫性のある運用体制を構築していくことです。特に全社展開された企業のほとんどはハイブリッド型(連携型)が導入されています。
スタートアップの段階では①部門主導型と②CoE主導型を選定することが多いです。各部門で人材の選定ができれば①で進める企業もあれば、人材の選定が難しいので外部に一括任せる場合は②で進められる企業が多いです。どちらのモデルを選んだとしても、必要な役割は変わらないが、その役割が部門またはCoE、どちらに持たせるのを決めるのが重要です。
最後に
CoE体制を構築するには、様々な役割が必要です。それぞれの役割でどんな目的でなにをやるべきなのか、明確に決めて、人材をアサインするのがファーストステップになります。弊社ではこのようなアサインシートを使って企業のCoE構築を支援しています。
上記画像で表示しているのはほんの一部です。
具体的にどんな役割が必要なのか、どのようなポジションの人が適任になるのか、兼任の選定条件はどのように考えるのか、そもそもどんなCoEモデルが自社に合うのか、など、CoE構築のワークショップ開催や構築支援を担当させていただきます。
RPAツールを導入してなんとなくで運用している方、これからRPAツールを導入するが、なにからやればいいかわからない方、ぜひ一度弊社までご相談ください。 RPAの開発だけではなく、導入から運用まで、企業に合ったプランをご提案、ご支援させていただいております。悩まれる方がいらっしゃいましたらお気軽にお問合せください。
ペネトレイター株式会社 星野