昨今、社内の定型業務をRPAで自動化する動きがあり、少しでも1人当たりの労働量や労働時間を削減しようとする取り組みが行われています。
RPAでは「市民開発」が重要視されています。「市民開発」とは技術職以外の従業員が、IT 部門や開発者に頼ることなく、業務に必要なアプリケーションを開発することです。
とはいえ、RPAを既に導入している企業でも、これからRPAの導入を検討されている企業でも、社内にそのような教育を実施すれば社内に「市民開発者」を増やすことができるのかお悩みの方もいるかもしれません。
そこで、今回このコンテンツではRPA導入時の社内への展開の仕方でお悩みの方々に向けて、考えていただきたいことをご紹介させていただきます。是非、お役立ていただければ幸いです。
目次
RPA社内教育の進め方
既存サービスから使いましょう!
「RPAは業務の自動化が目的だから、研修や導入にコストはかけられない!」そう思っている方はいらっしゃいませんか?
しかし、自社で研修プログラムを用意するのは、手間も時間もかかります。この中で特に時間がかかるということがRPAの導入においては大きなデメリットです。
既存のサービスを使用して社内教育を進めることをお勧めします。
その中で有料の外部研修と各ベンダーの提供している基本無料のコンテンツと大きく2つに分けて私の考えるメリットとデメリットを説明させていただきます。
外部研修を利用する
自社で必要となるスキルが開発スキルの習得なのか、運用に関する知識が必要なのか、RPAの要件定義に関する知識が必要なのか、ニーズをきちんと把握し、自社のニーズにあったサービスを選ぶことが重要になります。
外部研修を利用するメリット
- 社内教育をスムーズに開始できる
既にカリキュラムがあるので、早期教育を進めることが出来る - 実際に開発経験のある技術者に質問ができる
これは利用されるサービスにもよりますが、実際に開発経験のある技術者に質問をすることで研修ベースだけでなく、実業務を開発する際に発生するような問題に対するTipsを聞くこともできます。 - RPAの運用を早くスタートすることができる
RPA教育の準備を外注することで、RPAの運用を始めるまでの期間を短くすることができます。
RPAはロボットの稼働期間が長ければ長いほど効果を得られるツールですので、導入から運用開始までの期間を短くすることが成果につながるポイントです。
外部研修を利用するデメリット
- コストがかかる
- 自社にあった研修サービスを選ばないと期待した成果が得られない
①は外部サービスを購入するのに必要な経費として、②は慎重にサービスを選んでいただくことで解消できる課題かと考えます。
前述の通り、研修の目的はなんなのかが一番重要であり、研修サービスを選ぶ際に、その目的に合った研修内容が含まれているのかを判断するのが大事です。初めてRPAを触る方に上級コースを受けさせても理解できないし、ある程度経験がある方に初心者コースだともったいないです。
受講するターゲットのスキルや研修目的に合った研修サービスを選ぶことで、期待した効果を得られやすいではないかと思います。
RPAベンダーが提供しているコンテンツを利用する
外部研修を利用する方法以外に、それぞれのRPAベンダーが提供している学習プログラムを受講することも有効な方法の一つです。
各RPAツールを提供しているベンダー、例えばAutomation Anywhere/UiPath/BizRobo! ではそれぞれ独自の研修コンテンツが用意されています。
- Automation Anywhere – Automation Anywhere University
- UiPath – UiPathアカデミー
- BizRobo! – BizRobo! eラーニング(My BizRobo! への登録が必要です)
各研修コンテンツではオンライン講座を受講したりベンダーの認定する資格試験を受けることが出来ます。これらを上手く利用する社内教育を推進することも可能です。
ベンダーのコンテンツを利用するメリット
- 各ベンダーの推奨する実装機能を理解することができる
- 各ベンダーの認定資格等を取得することで従業員のキャリアアップにつながる
- コストをかけずに社内教育を進めることができる
ベンダーのコンテンツを利用するデメリット
- eラーニングで理解しきれないときに質問ができない
- あくまでも研修と演習なので実際の開発現場で起きるようなことまでフォローしきれない
- 外資のツールの場合、ものによっては英語ベースの教材しかない場合がある
社内教育を検討する際に考えるべきこと
導入から運用開始までの時間短縮は常に意識しましょう!
RPAを導入する際に、「社内教育が終わってからRPAツールを触る」というのはかなりもったいない使い方です。
理由は前項でも触れましたが、RPAはロボットの稼働期間が長ければ長いほどメリットを得られるツールなので、ツールを導入してから実運用の開始までの期間が短いほどツール導入にかけたコストを回収しやすくなるからです。
そのため新規導入の際は、まず自動化したい業務については、外部の開発サポートを利用し、同時並行で社内教育を行うことをお勧めします。
理由としては、
- 導入から運用開始までの時間を短縮できる
- 外部の開発サポートと開発標準を自社のナレッジに吸収できる
市民開発者を育成するには、大体の企業は「兼任」の担当者がアサインされることが多いです。理由はシンプルで、リソースを割くことが難しいですから。
そうなったとき、「兼任」の担当者は元の業務が忙しくてなかなかRPAが進められないという課題が出てきます。ロボット開発を始めたのはいいものの、途中で挫折したり、いつまで経っても最初の1個が完成できず、「開発中」のロボットが増えていく一方です。
そうならないためにも、最初は外部の開発サポートを活用し、RPAの削減効果を得るために「運用」を開始できるロボットを作ります。開発サポートがあれば、エラーが発生したときに一緒に解決してもらえたり、わからないことがあれば質問できる相手がいたり、開発者のメンタルが安定して開発をスムーズに進めることができます。
また、開発サポートから得られる知識を元に、自社の開発標準を定めることができ、共有フレームワークを使うなど、メンテナンス性が高いRPA開発を行うことができます。
開発標準とは、社内の開発・運用ルールであり、一般的な研修ではフォローしにくい部分です。
開発標準と共有フレームワークについて、以下の記事をご参照ください。
参照:RPA開発で重要な「開発工程」の各工程を詳しく説明します!
弊社では今まで様々な企業様のRPA導入に立ち会ってきました。その中で社内研修や各企業様の開発標準作成のお手伝いの実績も多数ありますので、何か皆様の一助になれると思います。RPAの導入から運用まで、なにか気になることがありましたら、是非弊社までお気軽にお問い合わせください。
ペネトレイター株式会社 一